HIROs LIED
ベルリンに住む日本人移民で認知症を患う母親ヒロと、その娘との生活を軸に、認知症患者の戸惑い、介護者の葛藤、母娘の絆について、多角的視点からフォーカスをあてるダンスシアター作品。演劇的手法と映像、ライブカメラを駆使した幻想的演出と、出演者の真に迫る演技により、言語や人種を超えた親と子の絆を象徴する作品となった。
主演の吉岡由美子は、世界を股にかけて活躍する著名な舞踏家。娘役のAsuka J. Riedlはベルリン在住の日独ミックスでドイツやアフリカ等で活躍する個性的で実力派のダンサーである。
本作品は、前納が2019年から取り組んでいる認知症をテーマとした、ダンスシアタープロジェクトの第二弾。2021年秋にベルリンで初演され、その後ベルリンの認知症団体や介護団体による支援を受け2023年6月に再演、絶賛を受けた。
演出・振付:前納依里子
振付・出演:吉岡由美子、Asuka J. Riedl
音楽 : 青島主税
舞台美術:蔵美佳子
映像制作・衣装:前納依里子
初演助成:Zehlendorf-Steglitz自治区文化助成金
再演共催:
ベルリン日独協会, Fachstelle für pflegende Angehörige, Verein für kultursensible Pflege (DeJaK-Tomonokai) e.V., Zentrale Anlaufstelle Hospiz (ZAH)
Gefördert durch Senatsverwaltung für Wissenschaft, Gesundheit, Pflege und Gleichstellung, Bezirksamt Steglitz-Zehlendorf
『シアターフォーラム・クロイツベルクの満員の観客を前に、振付家・前納依里子は「家族の認知症」という難しいテーマを凝縮し、ダンスで舞台化する非常に高度な芸術を披露した。日本の舞踏技術は特にこれに適していることが証明された。~(中略)~
二人のダンサー、吉岡由美子(母)とアスカ・J・リードル(娘)は、チャーミングな母ヒロと愛すべき娘の物語を、老若男女、文化、認知症に詳しいかどうかにかかわらず、すべての人の心を打つような方法で語り、観客に感動を与えた。美しさ、優美さ、愛、苦しみ、痛みは隣り合わせで、ジェットコースターのような感情を引き起こした。舞台上の魔法は、セット、舞台美術、照明、音響・音楽によってさらに引き立てられた。』
(Fachstelle für pflegende Angehörige、2023年6月19日、ウェブサイトより抜粋)
She is taken by a different song
of memories collaging and collapsing
Her body at the rips of reality
between the memories that hold on
and future that disintegrates
In her body, truth
彼女は様々な歌に導かれる
記憶の崩壊に次ぐ崩壊
現実と記憶との裂け目に立つ彼女の身体は
その中に溶解する未来と真実を掴んで離さない
(ダンスライターMin Yoon、2023年7月9日、Mediumより抜粋)